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Ninja250SLで行く、11月の伊豆半島周遊ツーリング(前編)

ツーリングというのは言葉として「旅」だ。何で行こうと旅は旅なのだろうが、バイクでの遠出をとりわけ「ツーリング」と呼ぶのは、やはりバイクで出かけるという行為には、それが1日だけであったとしても「お出かけ」というよりは「旅」を感じさせる何かがあるのだろう。

伊東西伊豆線


「バイクも買ったし、久々に温泉グルメツアーでもしたいなあ」という気楽な気分で企画した1泊旅行。クルマでの家族旅行などは最近もしていたのだが、10年ぶりくらいのバイク旅行は、やはりバイクならではのハプニングと味わい深さに満ちていた。




現状での唯一のツーリング仲間であるP君(免許歴2年目で大型教習中)と、なんとなく企画した一泊ツーリング。最初はキャンプがどうのこうのと言っていた気もするが、寒い時期になってしまったしということもあり宿を使おうということになり、暖かそうな(というか、少なくとも北でない)場所で美味いものも食えそうでという場所を考えると、必然的に行き先は伊豆ということになった。

いろいろ考えたがやはり距離的な面などから宿泊地を西伊豆・雲見に定め、11月19日を予定日として2週間前くらいに宿をとってあった。

出発は、当初は11月19日の土曜と考えていたが天候がひどかったので変更し、20日にした。その甲斐あって、当日の朝の空模様はバッチリ。


さいたまの朝

バッチリだし、普段は深夜というより早朝に就寝することが多い俺だが、今回は数日前から早寝を心がけていたので、朝もすっきりと目覚めたのだが、無駄にはりきって弁当を作ったり、初めてリヤに積載する荷物の固定に手間取ったりしていたら6時に家を出ようとしていたのに6時40分になってしまった。

7時も近いとは言え、冬至が近いこの頃なので、 まだ薄暗いR463をひたすら西へ。今回、西伊豆まで行くにも拘わらず行きは高速を使わないルート。津久井湖でP君と待ち合わせしており、その後は道志道を行く 予定だ。

遅れているので道を急ぐ。そのために写真がないのだが、所沢あたりから霧が出始めた。そういや「朝霞」なんて地名も近いしな、なんて気軽に考えていたのだが、霧はどんどん濃くなり、市街地の国道を走っているのに道が霧の中に消え入るレベル。

ただ、空自体は晴れているのだし、山でもないのだからすぐに霧は晴れるだろうと思いが強く、レインウェアを着るタイミングを逸し続ける。本当に珍しいと思うのだが、結局16号線に出るまでの間、濃霧に包まれていた。

天気予報ではこの日は晴れて、11月後半といっても20度を超える小春日和になるはずだった。そのため、3シーズン用のフェイクレーザジャケットで来てしまったのだが、霧のために日差しがなくて気温が上昇せず、しかもウェアがびちょびちょで、ともかく寒い。


霧に沈む八王子の町、のような景色もなかなか見ごたえがあったが、ともかく寒い。シールドが曇ってしまうのでメットのバイザーを空けて走っていたが、ジェットなので顔面が全面的に冷たくて仕方ない。 フェイクレザーは木綿などに比べれば水に強いが、けして防水ではないのでじんわりと中に着ているシャツの袖が濡れはじめ、そうなるとまた何とも言えず寒い。

レインウェアは持ってきているのだからさっさと着ればいいのだが、後ろに積んだ荷物を出すのが億劫だし、時間も遅れているし、だいたいこんな都市部で濃霧なんてもう時間の問題で晴れるに決まっているし・・・とズルズル走っているうちに、ズボンの脛部分もすっかり濡れてしまった。

ライダーの心得として、レインウェアは必要になる前に着るということが言えると思うのだが、なにせこういう状況も久々なのですっかり勘が鈍ってしまったようだ。


待ち合わせの場所、津久井湖(ダム部分)には10分かそこら遅れて到着。天気はすこぶる良い。

津久井湖ダムサイト


天気はすこぶる良いが、湖面を渡る風が冷たい。

駐車場の端っこの建物の陰で、持参したカツサンドを急いで食う。晩飯のとんかつの残りをそのままにして行くのが忍びなくてこれを作っていたら遅れた、とも言えるのだが、ロースカツ1枚とチェダーチーズ、レタスを「超熟」食パンでサンドし、ミツハ・フルーツソースとマヨネーズを添えた一品は、我ながら美味かった。

P君に適当に謝って、「じゃあ次は道の駅どうしで集合」ということで発進する。

つまり道志みちは飛ばす気漫々(笑) だったわけだが、雨の土曜の後の快晴の日曜とあってクルマもバイクも多い。何台か抜けたとしてもキリなくいるので、大人しく列に並び、景色でも愉しみながら走ることにした。走っていたので写真はないが、紅葉は見ごろで、まさに晩秋の山のイメージそのまま。ここらの紅葉は北の方や高いところのと違い、どうしても枯れた色になりがちだが、それはそれで良い感じのわびさび感。


道の駅どうしは大混雑
道の駅どうしはいつも混んでいるが、この日はまた輪をかけた大混雑。バイクもすごいしクルマもすごい。何か秋のイベントもやっていたようで、猪や鹿の肉なども食えたようだ。10時から300円で猪汁が飲めるというのがすごく魅力的だったが、先の予定もあるのと、すでに大行列だったので、パスすることにした。

秩父でも伊豆でも昔から猪料理の店はちょいちょい見るがいつもタイミングが合わずに食えていない。今度、それを目的にしたツーリングでもしてみようか・・・。


どうし道を抜けて山中湖に至り、次は須走の道の駅で休憩と思っていたが、なにせクルマが多いので時間もかかりそうだしどのみち道の駅も混んでるかなと思い、急きょ、三国峠へ向かうことにした。このあたりも何度も来ているけど一度も通ったことがない峠だし、眺望がいいというのは子供の頃に親父に聞いた覚えもある。俺の親父は講談師のように大袈裟に物事を語る癖があり、「三国峠から朝焼けの富士山を見るの巻」も数あるネタの1つだった。

道志みちで山中湖についてすぐに戻るような方向で左折し、小山を目指す。ほどなく小さな駐車場がある眺望ポイントに着いたが、ここも人が多く、バイク・車が駐車場に入りきらずに路肩に溢れていた。


三国峠からの富士山

三国峠のこのあたりは斜面がススキの原になっていて、そこから山中湖越しに臨む富士山は確かに素晴らしかった。富士山単体ではなく、全体として1枚の絵画のように感じられる眺め。この適当に撮った写真よりも、実際の眺めは格段に気持ち良いものだった。

峠を越えてR246のバイパスに抜け、一路、沼津を目指す。国道1号と交差したあたりからの沼津市街は混雑もあったが、なんとか11時半頃には沼津港に到着。

目をつけていた店のひとつである我入道漁協直売所で昼飯を食う。P君は生しらす丼をご所望だったのだが、なんと本日入荷なし。前日の天気が悪かったからか?俺も、太刀魚天丼というのを食いたいなと思いつつ、朝にロースカツを食ってしまったのでちょっと油を控えようかと思い、二人とも三食丼を頼んだ。


漁協直売所。安い。

うまそうだが、バイクでは持って帰れない

海鮮三色丼 650円

マグロと、釜揚げしらすと、白身は太刀魚だったと思う。たぶんオマケ的一品が桜エビ。味噌汁はほんのり海老風味がした。美味い。叫ぶほどに美味いとかそういうのではないけど、なんだろう、港の漁協的に安定して美味い。鮮度ゆえか、生臭さがない。そして安い。外の長机のチープさも嫌いではない。むしろ俺は人ゴミ・混雑・人の喧騒が苦手なので、岸壁際で遊覧船の放送ばかりががなっている程度の屋外は、気持ちよく食事できた。

今度来たらぜひ太刀魚天丼を食ってみようと思った。

さくっと食事が済んだので、そのまま静浦の海際を走り、伊豆半島の西側へ。


駿河湾越しの富士山は初めて見た
P君が給油している間、少し離れた路肩にバイクを停めて一服しつつ、富士山を眺める。富士山自体は何度も見ているし最近も家族でドライブしたりしてるが、駿河湾越しの富士山は実は初めて見たようにも思う。少なくとも、そう何度もは見ていない。足元の海も水が碧く透き通っていて綺麗だ。
風もなく、波も穏やか。こんな海なら住んでもいいか、とか思うくらい。


なのだが、ここで海とはお別れし、黄色の127号線で西伊豆スカイラインへと。
いよいよ本格的なワインディングロードとなる。

ただ、晩秋という時期柄大量の落ち葉と前日の雨で、路面の悪いところも多く、わりと多めに安全マージンをとった走りをしなければならなかった。

とは言え、逆にそのせいであまり緊張もしないほどほどペースになったようで、景色を眺める余裕もあり、疲れも少なかったので、良かったところもあるかも知れない。

西伊豆スカイラインは、午後の日差しに尾根を覆う笹の葉が光る中を流れるよう縫うように走る。ここまで来ると交通量も少なく、実に爽やかな気分。爽やか過ぎて写真を撮るのを忘れたくらい。

途中、1kmほどだけP君のNinja400と車両を交換してみた。久々の400ccはすごいパワーで、アクセルを開けると何の抵抗もなくあっという間にスピードが出る。・・・400ってこんなにパワーあったっけ・・・自分がかつて100馬力以上の大型に乗っていたということが信じられない気持ちになった。

ポジションは250SLとはまったく違うアップライトなもので、なるほど、これはツーリング向けだなと。最初はどうやって曲がろうか?と思ってしまったが、いくつかのコーナーを曲がるうちにこの姿勢での曲がり方も思い出してきて、わりと軽快に走れるようになった。これはこれで楽しい。ただ、他人のものという遠慮と不慣れのせいもあろうが、今はやはり250SLの方が「ああ、コレコレ」という安心感があった。確かに前傾しているがコーナーに入る姿勢としては極まっているし、非力だが、非力ゆえに思い切りよく回せる楽しさがある。1速でも6速でもしょっちゅうアクセル全開にして、しばしばレブリミットまで回せるというのは、やはり250ならではだろう。

風早峠、仁科峠を越えて県道59号へ。


県道59号沿い

黄葉も輝くようでまた良し

細い道に木々がかぶさり日当たりが悪いからか、山側から水が湧いてしまっているからか、おそらくその両方だろうが路面は濡れているところが多かった。ただ、黒く濡れた路面は金色に輝く黄葉を引き立たせる。その中で時折あらわれる紅葉がまた美しい。濡れた枯葉の茶色の侘しさ、杉林の暗さも含めて、非常にファンタジー感にあふれ心躍る道のりであった。


県道59号も松崎に近いあたり
松崎に近くなる頃、標高も下がって景色も開けてくるが、空はあいにく曇り始めていた。
道路のカーブは緩くなり、つらつらと流す感じで走っている途中で道路上にヤマカガシがいるのを見つけ、急停車して写真を撮影。
猛毒があるので注意して撮影したが、やけに大人しいと思ったらすでに誰かに轢かれていたようで、腹の一部が潰れて内蔵が出ていた。首は持ち上げているのだが、それで動けないようだ。

猛毒の蛇とはいえど、どのみちもう助からないとはいえど、そのまま路上に張り付いたまま後続車両に踏みつぶされていくのではあまりに惨い。周囲を見渡して1mほどの棒を見つけ、ひっぱって道の端に避けておいた。歩行者が通るような道ではないし、どうせほどなく死んでしまうだろうから、人を咬むこともないとは思うが・・・いっそ介錯してやった方がよかったのだろうか。
蛇というのは間近で見てしまうと実につぶらな瞳をしていて、だけどよく轢かれたり殺されたりしているので、なんだか切なくなってしまう。
まあ、神か仏が見ていれば、これで俺もまた一歩極楽行きに近づいただろう。

その後、松崎に抜けたが宿につくのが早くなりそうだったので、道の駅花の三聖苑に寄った。風呂には入らなかったが、マロン味のソフトクリームを食べた。意外にマロンの味がして美味かった。というか、そもそも暑かった。

この日は3シーズン用のフェイクレザージャケットの下にユニクロのウルトラライトダウンベスト、 それにネルシャツ、ロンT、ヒートテックという装備で、11月後半のバイクとして考えるとちょっとギリギリかなと思っていたのだが、小春日和のせいでむしろ暑い。おかげでソフトが美味かった。

16時頃に宿に到着。

2週間ほど前に宿を探した時点で、オンラインで予約可能な民宿はほとんど埋まっていた。なので、「雲見温泉観光協会」のHP(http://kumomikankou.com/syukuhaku.html)の一覧で、片端から宿を調べたのだが、その中で、公式HPにてオンライン予約を受け付けておらず、電話・FAXでのみ予約できる「三五郎」は予約が出来た。

実のところ自分は雲見は4回目か5回目くらいで、いくつかの宿に泊まっているというか、都度都度適当に検索して宿探しをするのだが、三五郎は聞いた覚えがない。価格もわりとリーズナブルで、予約も空いちゃってて、大丈夫なのか?と思いつつ、電話した際の女将さんの人の良い感じだけに希望を託していたのだが(頑張って検索すればいろいろ情報がありそうだが、事前に調べすぎるのもつまらないのであまり見てない)。

到着してみれば、公式HPの写真(たいがい加工して綺麗にしてあると思ってる)から想像する以上に小奇麗な宿。この日は宿泊客が我々のみだから良い部屋にしてくれたそうで、広くきれいな部屋だったし、トイレは民宿的に共同であるものの、これまた手入れも行き届いた衛生的なもの。風呂も二、三人で入るには十分に広く、お湯も熱めで気持ちよかった。シャンプーやリンスもLUXやPANTENEなど充実していた。

食事もうまい。そして多い。

そして食事も実に良かった。
雲見に来るといつも「伊勢海老・あわびコース」みたいなので泊まってしまい、料金もかさむが何せ量が多すぎて苦しくなるので、今回は税抜き8000円の通常コースで頼んでいた。 それなのだが、船盛はデカいし、金目にサザエに、ワタリガニだしの鍋、その他各種小鉢と実に豪勢で驚いてしまった。というか、後半は胃袋のキャパシティとの戦いであった。


刺身は甘エビっぽいのと、マグロ・イカ少々、メジナ丸ごと、アジのなめろう、それに何かピンク色の光沢のある見慣れない刺身があった。とろっとしていて甘味があり美味かったので、何だか聞こうかと思っていたのだが、食べ終わったらすっかり忘れてしまっていた。金目かなあ?



酒をお願いしたら、「伊豆の地酒・あらばしり」なるものが。やや辛口くらいか?やたら端麗というわけじゃないが、飲みやすい。でも武甲ほどマイルドでなく、もうちょっと角のある感じ。まあ詳しくないのだけど。武甲と比べられても普通わからんしね。ともかく悪くなかった。けして高い酒の味ではないが、実際のところ高くないし、気取って飲むのではなく、気楽な宿で地酒として飲むのに程よい感じ。なぜということもないけど、俺は伊豆のわさび田を連想しながら飲んで納得していた。深い意味は何もないが。


伊豆半島唯一の蔵元・万大酒造による地酒



腹がふくれすぎて苦しい中、テレビをつけてみたらチャンネルが少なかったのでなぜかNHKでクラシックコンサート(ベルリオーズのロメオとジュリエット、と言ってた)を見ながらP君と語らう。ツーリングに来たのだから峠の攻め方の話でもすればいいのにという気もするが、なぜかそうなった。

部屋が広かったために、ちゃぶ台を片付けずにその両側に布団を敷くことが出来たので、まるで個室のような気分で寝ることが出来た・・・すぐに眠って朝まで熟睡だったので関係なかったかも知れないが・・・。

ちなみに、予定では2日目のメインイベントは南伊豆、青木さざえ店の伊勢海老ラーメンであったが、この時点で「海鮮」に対する欲求はほぼ満たされてしまっていた・・・。

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