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Ninja250SLで挑む伊勢海老ラーメンクエスト

伊勢海老ラーメンを食べる。ただそれだけのために、さいたまから南伊豆まで、Ninja250SLにて日帰りツーリングを敢行しました。

帰路の戸田峠から駿河湾を望む

ツーリングマップルが、まだ関東2輪車ツーリングマップであった時代。


こんな表紙だった

学生だった俺は冒頭の取材記録的おすすめ情報ページで、「1500円で伊勢海老ラーメンが食える青木さざえ店」の写真を見つけた。伊勢海老なるものを食ったことがなく南伊豆にも行ったことがなかった俺は、ああ、バイクのツーリングって素晴らしいな、俺も南伊豆までツーリングして伊勢海老食うぞと心に誓ったものであった。

やがて社会人にもなりツーリング予算が増え、南伊豆にも何度か行った。というか、去年も雲見まで行っている。そしてその時も、伊勢海老ラーメンを食うつもりでいた。

だが、南伊豆あたりまで行くとやはり一泊したくなり、あのあたりの民宿で一泊してしまうと、それはもう立派な海鮮が山盛りの晩飯が出る。しかも、そういう行程だと行きがけに沼津あたりでも海鮮を食ってしまい、翌日の朝もまたボリュームたっぷりだったりする。と、どうしたって二日目の昼には伊勢海老食おうなんて気にはならなくなっていて、かれこれ20年ほども、「バイクで南伊豆にツーリングに行くと伊勢海老ラーメンが食えるらしい」という憧れだけを抱き続けてきたのだ。伊勢海老自体はもう何度も食ったけど。

そして今年、この煮え切らない想いに決着と書いてケリをつけるべく、日帰りで南伊豆まで突っ走り伊勢海老ラーメンを食うというクエストを敢行することにしたのでした。




今回は、現状にて唯一のツーリング仲間であるPくんと。

彼は俺がツーリングを一緒に楽しむ友人に望む唯一の資質、「峠で置いてけぼりにしようが道に迷って逸れようが文句を言わずにマイペースで走ってくれる」という性質を持っているので非常に助かる。

今回は、「伊勢海老ラーメンを無事に食う」という明確な目的の達成を最優先すべく、高速道路と有料道路をフル活用したブルジョワルートで南伊豆を目指す。

8時に足柄SA集合、ということで6時に出るよと言っていたけど6時40分に出発。しかし、自宅から首都高のインターは近いということもあり、ガス欠の危機にさらされるという想定可能なハプニングに見舞われつつも8時前には足柄SAに到着した。

というか、海老名SAの後に30km以上、ガソリンスタンドがないとは思わなかった。まあ、そういう読みの甘さが自分にはある。

Ninja250SLのタンクは11Lだが、一度の給油量の自己ベスト、10.6Lを叩き出してしまった。ちなみにこの時の走行距離は296km。やはり、このバイクは300kmは走るようだが300km以上は期待しない方が良さそうだ(ただし俺は燃料濃くしているので、ノーマルより少し燃費が悪いかもしれない)。

足柄では道頓堀で一番とかなんとかの触れ込みのたこ焼きを朝食として食った。550円もして6粒はちょっとコストパフォーマンスに疑問符がつく・・・。味は、最近飽きてしまった銀だこのような揚げタコではなく、ちゃんと焼きなので美味いと思ったが、どうしても「これ1粒100円かあ」という気持ちが・・・。

足柄を出て新東名から伊豆縦貫道。修善寺道路とつなぐ。通行料はもっと高いかと思っていたのだが、合計で320円と大したことはなかった。


修善寺
修善寺には叔母が住んでいたので、小・中学生の頃に何度か来ている。岩登りの山を見ると、ああ、修善寺だなと思う。

そこからは国道で天城峠を超える。国道414号、下田街道は、展望もあまり効かず、高速コーナーでも低速コーナーでもなく、峠としては半端な印象な上に交通量は多い。毎度、正直なところ退屈だなと思う。天城越えという演歌にもなった言葉や伊豆の踊子の舞台的な意味合いでのバリューがあるのかもしれないが、川端康成には特に思い入れもないので、俺としてはこれといった感傷もない。

しかもフロントタイヤは変えたばかりで黒光りしてツヤを放っていたから、どうもそのあたりも心もとない。高速でもう100kmくらい走ったが皮むきは見事に真ん中しか済んでいなかった。

そんなこんなで、いまいち乗り切らないままに伊豆半島の真ん中を南下する。

東伊豆

ところが、途中から何か変だなとは思っていたが、どうやら道を間違えていて東伊豆の海に出てしまった。予定では下田の先で海沿いに出るつもりだったのだが・・・。

天気も良いので海は綺麗で穏やかでいい気分ではあったが、どこかで千切ってしまったPくんに連絡せねばと、「下田で会おう」とメールを送ってやや待つと、彼も道を間違ったらしく合流できた。

その後、下田の道の駅にも休憩で寄ったが、あそこは微妙だ。たぶん、飯を食うなどの目的があればいいのだが、ただの休憩で寄ってしまうと、でかい上にバイク置き場は奥まったところにあるので、海を眺めるでもなくただの駐車場と喫煙所であり、何も楽しいことがない。

缶コーヒーと一服、という程度なら、コンビニか別の展望駐車場の方が良いだろう。下田から少し南に降った何とかウィングという駐車場は、ついスルーしてしまったが横目で見るにかなり眺望もよくて気持ち良さそうだった。なら停まって写真のひとつも撮ればいいと思うのだが、ついアクセルを閉じることなくスルーしてしまう。まあ、次にここ通ったら寄ろう・・・いつか。


青木さざえ店
なんて言っているうちに、わりとあっけなく「青木さざえ店」に到着。もうちょっと最後、入り組んだ道を行くのかと思ったので拍子抜けするくらい。南伊豆の国民休暇村の向かいでもある。

11時40分くらいだったので、間も無く混み始めるだろうと思われ、さっさと昼食、つまり本日のメインターゲットである伊勢海老ラーメンを食うことに。実際、注文をした時点では空きがあったが、待っている間に次々に団体客が来て満席状態になった。


店内。思っていたより洒落ている

美味そうなメニュー

メニューを見ると、いろいろと美味そうなものがある。特に丼系がそそる。正直、本来であれば俺はここで伊勢海老ラーメンは選ばない。だが今日はクエストだ。苦渋の決断の上でメインターゲットを確実に抑えることにする。

あわびとさざえの二色丼

Pくんは、あわびとさざえの二色丼を頼んだ。すげえ美味そうだ。さざえが天婦羅なのもいい。Pくんは仏のように慈悲深いので、さざえを一切れ恵んでくれた。うまかったが、米と一緒に頬張ったらさぞ美味いだろうという気がした。

そしてこれが、伊勢海老ラーメン

もはや40を越えた俺が、10代の頃に憧れたライダー飯である。長き時を越えた邂逅。しかしその姿はまさに在りし日の2輪車ツーリングマップの写真そのままだ。値段も(たぶん)そのままなところが素晴らしい。ちなみに、1500円。

一応、慣れないながら味をレポートしてみると・・・

  • スープ 味噌と思う。けど、濃厚味噌ラーメンのような濃いものではなく、味噌汁に近いあっさりしたもので、飲み干すのに苦はない。渋谷あたりの濃厚海老出汁ラーメンみたいのを想像すると逆に拍子抜けするが、海で渇いた体で食うには良いのではないか。
  • 麺 細い縮れ麺で、かなり茹っていて柔らかい。ある意味オールドスタイルなのか。最近のラーメン屋の腰の強い麺になれ
  • 伊勢海老 半身だが、身はしっかり食える。ただ、個人的には伊勢海老は茹でるより鬼殻焼きの方が好きだ・・・。

まあ、見た目のインパクトと裏腹に、かなりあっさりと優しい味わい。海老は半身がしっかり食えるので十分に歯ごたえも楽しめるが、逆に言えば具はほぼそれだけ。チャーシューなどないので、腹に溜まる感じはない。

ま、次に行ったら、俺はぜったいに丼物を食うと思う。伊勢海老ラーメンはそれなりで美味かったが、丼物の方がもっと美味そうだった。けど、今回はこれで本望だ。



食堂横には生簀もあり、買って焼いたりもできる

焼肉よろしく卓上BBQで貝など買って食える。が、テーブルチャージが1800円となると、それを乗せて出来上がり品を食った方がいいかなと思ってしまうなあ、あはは。

伊勢海老の干物作成中。干物って美味そう。

伊勢海老は甘みが強いので、干物にしたらきっと味が濃くて美味いのではないかという気がする。

食堂横はすぐ弓ヶ浜。
カップルがいやに絵になっていてムカつくw
10月に入っているが、泳いでいる人もちらほら。
なぜか欧米人観光客が目立ち、ビキニの金髪お姉さんもちらほらいたが、それ以上に目を引いたのは、波打ち際で一人遊ぶ赤フンの壮年男性であった。


弓ヶ浜

海パンもないのにいつまでもビーチを眺めてても仕方ないので、帰路につく。午前に一気に走り、主目的を果たしたのと、その後にPくんから仕事の面倒な話を聞いてしまったせいでテンションが下がり、砂を踏んで波打ち際に行く気力が出なかった。


石廊崎付近

積年の悲願を果たしたというのに、ツーリング中に仕事の話をするというタブーに等しい悪辣な攻撃により俺のテンションはだだ下がりであったが、石廊崎を抜けて西伊豆に回る道はよいワインディングで、否応なく昂ぶってくる。絶景もしばしばあり、写真も撮りたいと思いつつも、気持ちのよい走りを途切れさせたくない気持ちも強く、調子にのって飛ばす。


雲見漁港

と、あっという間に雲見の漁港についてしまった。ここで一休みしていたら、地元の爺様から、実は今日の午前は海賊祭りとかで、海鮮食べ放題だったと聞いた。しまった。こっち来ればよかったか・・・?まあ、それは来年。毎年10月の第二日曜だかにやってるらしい。数年前までは樽を割って酒も飲み放題だったとか。


雲見を出てからは、松崎まではなぜか彫刻が点在する「海沿いの峠」という伊豆ならではのワインディングを走る。
たまに車やバイクがいたが、わりと、バイクが来ると先を譲ってくれる気の利いた方が多かったのでなんだか快適に走れてしまった。(煽ったりはしてません)

戸田峠

雲見を出てからは、松崎で県道59号に入り、山へ。仁科峠を目指す。このルート、昔はタイトできついと思ったが、最近は奥武蔵グリーンラインとかばかり走っているせいか、せっかくツーリングに来たらこういう細い、苔が生えてるような峠を走らないと満足できないといった雰囲気。実に愉快で、写真を撮らないままに一気に仁科峠へ至り、西伊豆スカイラインで風早峠を抜け戸田峠へと。

西伊豆スカイラインは、笹しか生えていない尾根筋で両側に展望が開けて西側には海も見える中を駆け抜ける気持ちよく、実によい。が、いつもほとんど誰も走ってないのが不思議だ。

戸田から西浦に抜ける町道127も実に快適。体感的に今日一番のバンク角をかましながらさわやかに走る。

西浦に出たところで、前から曲がり道の目印としていたレストラン「井里絵」が営業中なのを確認。このまま高速に乗ってしまうと、また晩飯が足柄のマクドナルドになってしまうので、早めだがここで食べてみることに。

何か独特なものを感じる佇まい

地魚系のメニューが充実しており、俺は地魚フライ定食、Pくんはアジのたたき丼をオーダー。



アジ、マイワシ、メギス、黒ムツ。日替わりらしい。

メギスはともかく深海魚だったなと思ったが、黒ムツってなんだっけと思ったら、わりと高級魚ではないか。→ 図鑑 黒ムツ

右下の小さめのが黒ムツのはず。食感としてはやわらかい白身だった。まあ、俺は結局のところ、フライではアジが一番美味いなあと思いつつ食っていたが・・・。

アジのたたき丼。美味そう。
 Pくんの頼んだアジ丼も薬味多めで美味そうだ。


食べ放題。


この店はしかも、午後の時間のみかもだが、店内にてみかん食べ放題、セルフのコーヒーと御茶請けの菓子(ブルボン系)もご自由にという充実のサービス。結構気に入ってしまった。だからってそうそう行く距離じゃないけど・・・。

その後は、夕暮れの西伊豆の海岸線を少し走る。

西浦から少しのところで、ちらっと目に入った観光案内所がいやに美少女だらけだったことに気づいた。そしてほどなく、海辺を散策する旅行者が、男のみのグループばかりなことにも気づいた。それで、ああ、ここは確か「ラブライブ!」の聖地だったなと思い至った。だいたいこういうところで男カップルがやたらいる場合はまず聖地巡礼だ。もっとも、端から見たら俺とPくんも同類に見えているだろうけど・・・俺らは聖地巡礼などではない。
ったく、オタクって奴らはどこにでも湧いて来やがるぜ!
(大洗でもらったダージリン様のコースターはいまだにタンクバッグにしっかり保管してあるとか、そういうアレコレは棚上げしておく)

沼津の市街地を避けるべく、伊豆中央道に入るがここが大渋滞。もっとも、道幅があるせいで楽にすり抜けてしまったが。

その後はそのまま沼津長泉から新東名に乗り、行きと同じ足柄SAで最後の休憩をとり、P君とは解散。ここからは渋滞50kmの案内が出ていたので、互いの幸運を祈って各個に最善を尽くすことにした。

多少神経は磨り減ったが、思ったほどの時間はかからず、20時過ぎには帰宅できた。

まあ、今回はともかく、ずっと気になっていた青木さざえ店の伊勢海老ラーメンというものを食えたので大満足だ。これはもはやグルメ旅行などではなくて、クエストだったのだ。バイクで特に伊豆方面にツーリングすると、常に俺の中でやり残した宿題のように引っかかっていたものが、スッキリとした。これからは南伊豆へのツーリングプランももっと自由に立てることができる(笑)。

なお、伊勢海老の漁獲量自体は南伊豆より館山の方が多いそうだ。俺は夏には家族でよる館山に海水浴に行くのだが、館山にも伊勢海老を食える店もあるし、炉端焼きできるドライブインもあるし、関東からのアクセスは楽だ。さいたま人が伊勢海老食いたいだけとかなら、あっちの方が楽だろうと皆様にお伝えしておきます。

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