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大洗あんこう鍋ツーリング~「ガルパンはいいぞ」~

2月のうちに行こうと思っていた大洗へのツーリング。仕事やら風邪やらでのびのびになっていましたが、3月に入ってようやく行って来られました。

磯前神社の前の磯の鳥居
大洗は、数年前に友人とシーバス狙いの釣りで行ったことが一度あるだけです。その時はもちろん車で、よく調べずに行って、涸沼と大堤防のあたりをウロウロして結局まともに釣りはしなかったような。

ツーリングでは大洗には行ったことがないというか、茨城をろくに走ったことがありませんでした。ただ、冬の名物であるアンコウ鍋を食ってみたかったのと、平地なので冬でも走りやすいかという期待があり、寒い時期のツーリングで行こう・・・と前から考えていました。

ただ、ご存じのように、大洗は「ガールズ&パンツァー」ですっかり有名になりました。詳しい比較は知りませんが、町おこしとしての実績は、大成功と言われた「あの花」の秩父すら凌ぐのではないでしょうか。

大洗ツーリングはその影響力の凄まじさを見せつけられるようでした。




――当日は、いつものというか、ここのところ唯一のバイク仲間であるPくんと、さいたま市内で待ち合わせをしたが、例によって、予定時間を1時間近く過ぎてもPくんが現れない。川崎から首都高で首都圏縦断をしてくるものの、2時間かかる距離ではなかろうに・・・今度こそ事故って死んだか、と思い始めた頃にようやくお出まし。

なんでも首都高がえらく混んでいたとか道を間違ったとか、ありがちな言い訳じみた事情があったようだが、2時間走ってきてすぐに出発は酷なのでコンビニでスナックを齧りつつ少しの休憩。結局、走り始めた時点で11時近くなってしまった。

ルートとしては、R4バイパスで北上しR16で東へ、芽吹大橋で3号線→牛久沼を掠めてR6をちょっと走り、R408で潮来へ、さらにR51で大洗へ、という感じ。

高速ですぱっと行くと呆気なさすぎるのではと考えた一般道ルートだが、もともとの予定だと9時にさいたまを出て、昼過ぎに大洗でアンコウでも食って・・・という感じだったのだが、大きく出遅れた上に、ほとんどが市街地であるため時間帯的に道路が混雑を増しており、余計に進みが悪い。

前回の牛久沼ショートツーリングでも思ったが、茨城西部の景色は埼玉県東部と似ている。まあ、隣同士なので当たり前といえばそうだが、つまり埼玉県東部在住の俺には新鮮味というものがない。

一言で言えば、関東平野。「郊外の市街」と「感動を呼ばない田舎」の繰り返しだ。ロードサイドの大型店舗などと新興住宅地からなる郊外の市街地ゾーンと、それをつなぐ田んぼ部分。田んぼ部分はそこそこ広々としているが、北陸や東北で見るような広大さ・素朴さはなく、「いい景色だ」という感慨には至らない微妙なところ。

まあ、要はツーリング向けではないのだ。

なので、なんだかパッとしない気分のままでひたすら走り、潮来へ到着してしまった。
潮来の直前あたりからは、田んぼも大きくなるし、利根川・霞ヶ浦水系の景色もあってそれなりにイイ感じにはなってくる。それなりだけど。

そんなわけで、これといった休憩もなく写真も撮らずで道の駅「いたこ」に到着。もはや昼時だったので少し何かつまんでいくことにした。

ここでは屋外でいろいろ売っているのだが、俺は「牛スジカレーパン」を食ってみた。横浜からこちらに移住した主人が手作りしているそうだ。一緒に売っているのがサーダアンダギーなのは奥さんが沖縄出身だからだそうで。茨城とは、「主人がいま住んでいる」という関係しかないな。カレーパンとしてはなんだかちょっと変わった味・食感だったけど、それはそれで手作り風で美味いと思った。ただ、もうちょっとボリュームがあると尚よかった・・・。

Pくんはたこ焼きを買っていて、2つばかり頂戴したのだが、これは美味かった。大粒でたこもしっかりしていて、生地もトロトロかつふにゃふにゃの王道。銀だこのような「揚げタコ焼き」でないところが良い。やっぱりたこ焼きは「焼き」であるべきで、「揚げ」は亜流だ。

直売所で、以前に買ったら非常に美味かった「熟成紅はるか干し芋」を買えばよかったのだが・・・「大洗でもあるのでは」とか言って買わず。結論から言うと、結局干し芋は買いそびれたのでちょっと残念だ。保存食であり、さして高くもないのだから、さっさと買っておけばよかった・・・。

直売所では餅も多く売っており気になったが、さすがにのし餅を持ってツーリングはできないので、濃厚そうな草団子をあとでのおやつ用に購入した。

時間も押しているのでさっさと進むことにしてR51へ。後は道なりに走っていれば大洗にはつく。それまでが偉く進みが悪かったのもあって、「まだまだ遠いな」と思っていたが、R51は流れがよくて以外にすぐに大洗についた。

どこに行けばいいのかよくわからないので、とりあえず目立っていた鏡張りのタワー・・・マリンタワーに向かう。

マリンタワーの近くにはフェリー乗り場もある。


有名な「さんふらわあ」

「ガルパン」のみならず「ばくおん!」にも登場する「さんふらわあ」。大洗からのフェリーは俺は乗ったことはないが、学生時代に北海道や九州にツーリングした頃には長距離・短距離といくつか乗った。フェリー独特の排気臭のする中でしばしPくん相手に船旅の思い出(おもに船酔いの思い出)を語り、それから歩いてマリンタワーに移動。

マリンタワーの3F展望台は300円ほどで上がれる。どうしようかと思いつつ、そもそもこの後どこに行けばいいんだ?ということで1Fの端っこのテーブルで地図など眺めつつPくんと相談。すると、Pくんが「とりあえず上の喫茶店で検討しよう」と宣う。

わかった。まあ、だいぶ走ったし、少し喫茶店で休もう。・・・・「ガルパン喫茶」で。

エレベーターで2Fに上がると、わりとバッチリ「ガルパン喫茶」で面食らった。正直、普通の喫茶店が少しスペシャルメニューを出してるくらいのものを想像していたがだが・・・店内にはポスターやタペストリーのようなものが溢れ、関連グッズが並び、BGMは声優による作品解説など、ウェイトレスは「大洗女子学園」のコスプレ。

半分はわかっていて来たのだし、嫌いということはないが、そういう店には慣れていないのでちょっとビビってしまった。が、ビビッていても仕方ない。これもご当地モノなのだからツーリングの目的のひとつよ、ということで、いさぎよくオーダー。

「ダージリンを」「オレンジペコーを」

まあ、紅茶を頼んだわけだがそれが単なる紅茶の銘柄以上の意味を持っていることは、わかる人にはわかるだろう。

紅茶は普通に紅茶で、あとソフトクリームも頼んだけど結構うまかった。ただ、本当はケーキでもあれば食いたかったのだが、あとは結構ガッツリした食事しかなかったのが残念。ちなみに客層は・・・わりと巡礼者(20~30代男性グループ)で占められてましたね。あたりまえか。

この時点ですでに16時をまわっていた。とりあえず適当にぶらついて、アンコウ鍋を食ったら高速で帰ろうということに。

店を出て、とりあえず磯前神社に向かう。

大きな鳥居でそれとわかり、すぐちかくに県営駐車場があったのでそこにバイクを停める。目の前には冬の海。


磯前神社前の駐車場から
海岸を見渡すと、有名な磯の鳥居を発見。



磯前神社の前の磯の鳥居
この鳥居と海岸はガルパンにはさほど関係がないようで、それ以前からの観光スポットなためか、カップルか、男女でドライブする学生っぽいグループが目立った。でも、そこでスカした顔している男はきっと背後のシーサイドホテルを見てこういう記事を思い出したりしているに違いない↓
http://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1512/24/news086.html


道路にあがると巨大な鳥居が。白いコンクリートが海際というシチュエーションによく似合う。


大洗磯前神社の大鳥居
階段を上るとわりと立派な神社が。
あ、でも本殿の撮影を忘れた・・・。

とはいえ、磯に砕け散る外海の波と神社など見て、ようやくツーリングらしいと言えばツーリングらしい感じなってきた。ガルパン喫茶だけでは、本当にただの聖地巡礼になってしまうからな・・・。

と、思いきや、絵馬はなかなか凄いことになっていた。圧倒的な比率のキャラクター絵馬。よくぞというクオリティでガルパンの登場人物が描かれた(もともと絵馬に書いてあるのではなく)ものが大量にあり、本当にスタジオの本職が書いたかと見まごうほどの完成度のものも多かったのだが・・・いちおう、他人の絵馬なので撮影は控えた。あれどうやって描いたんだろう・・・巡礼者が一度買って帰ってホテルとかで作業したのかな。


日本は神におおらか。
結構立派な神社の本殿の横に、似つかわしくない華やかなオブジェが。まあ、先の大戦が国家神道のもとで行われたからか、神社にはよく戦争関連の句碑はある。まあ、戦時体制のアレコレを言わなくても、”戦士の魂を弔い、悼む”みたいなことは、宗教の原始的な役割のひとつであろうし。そう考えると、少なくとも戦車と神社の取り合わせには異常さはないのだろう。そして、神社に巫女が付き物なことからも、神社と美少女の取り合わせもむしろ自然。そう考えると、「神社にガルパン」は、わが国の文化的に何の違和感もない取り合わせなのかも知れない。

いずれにせよ、磯前神社も聖地であるらしく、やはり今日の我々の行動は聖地巡礼でしかないようだと思い知らされる。

この神社、訪問時では自分は知らなかったのだが、帰宅後に「ガールズ&パンツァー劇場版」をレンタルして見てみると(←結局見る。もちろん。)、

この階段を戦車で降りるシーンがあったり

本当に思い切り「聖地」でした。

ま、聖地として楽しむもよし。ですが、それを別としても、海に向かってバーンと開けた神社(しかも結構大きい)というのはちょっとめずらしくて、良い感じ。なんというか、開放的な雰囲気が山奥の神社とはまた違う。

その後、どこかにアンコウ鍋を探しにいくつもりだったが、周囲にたくさん店もあるし面倒になってきたので、そのうちの一軒、「日野路」に入ることに。刺身定食でもいいかな・・・と思いつつ入ったものの、メニューを見ていたらやはりアンコウを食べてみたくなったので、二人前を注文。一人前は2800円。飯としてはちょっと高い・・・酒も飲めないのに・・・とは思ったが、まあ昼も軽食しか食ってないし、「大洗であんこう」はやはりやってみたかったので。

非常にきれいなお店でした

量は結構たっぷりで、それに雑炊用のご飯と御新香をつけた。いや本当に酒が欲しかったな。

・・・肝心の味はといえば、美味かったです。とはいえ、アンコウ鍋自体は何度か食べたこともある。家でも作ったし、都内の飲み屋で出している店もあるし。それらと比べて、とりわけ美味かったのか?と言われる・・・すいませんよくわかりません(笑)。

頻繁に食べるわけじゃないから、細かい印象までは比較しにくいし、煮てしまうからねえ。ただ、ひとつ言えるのは、臭みがまったくなくプリプリと、食べ飽きずに食べきれたということ。深海系の魚は窒素分が多くアンモニア臭が出やすいイメージがあるが、それが全然感じられなかったのは、鮮度や仕込みに何かあるのかも知れない。

あんこうの「七つ道具」も

ちなみに、この店でも食っている間に次々と巡礼者がやってきました。基本的に、男性グループでかつ、たなげた手荷物にガルパン土産が透けているのでわかります。他の店にもそれと思しきグループが見えたし。近くの宿の駐車場に停まっていた懐かしのVT250SPADAには「黒森峰学園」のステッカーがあったし。

・・・と言うか、まるで「俺は違うけど」と言っているようだけど、認めますよ。我々もその仲間ですよ。バイクで来ているからツーリングだと言ってみてもね・・・なんだかんだ、この作品経由で「大洗かあ」と引っかかったところはあるし。お店の人も、ガルパン缶バッジくれたし。

店の方も、こうして歓迎してくれてるし。

いろいろな店の前にいろいろいます。
でもこの子は誰だろう?ちょっとマイナーなキャラだろう、未熟な俺にはわからない

ゆっくり飯を食っていたら真っ暗になったので、海岸の駐車場まで歩いて引き返す。缶コーヒーを飲みながら夜の海を眺め、一服。実にオツだ。

3月に入っているだけあってたいして寒くない・・・とか日中は思っていたが、やはり日も落ちればだいぶ寒い。帰りはもう景色も見えないし疲れたので、大洗のICから高速に乗って常磐道へ入る。
入り口ランプで、「あ、今日はじめて『コーナリング』してる」と気付いてちょっと愕然とした。・・・つうか本当にこのエリアにはワインディングないよな。平坦なんだから当然だが・・・。

友部SAでPくんと最後の休憩をとる。昼間に買って食べ損ねていた草餅を食ったが、見た目通りにヨモギが濃い。餡子たっぷりだが、アンコウ鍋で腹がふくれた後でもさっぱりと食えてなかなか良かった。

久々のツーリングで、道の混雑などもあり、なんだがバタバタしてしまったが・・・。たまにはこんなのもいいだろう。

  *   *   *

それにしても。

帰ってから劇場版を見つつ、そうはいってもこれも2年前の映画だし、アニメ本編は5年前かー、と。それだけの期間、そしてこれからもまだ当面、実際に結構な人があのアニメ作品をきっかけにしえ大洗を訪れるのだろう。しかも、見ている感じ、彼らはあちこちで食事をし宿泊もしたりする。食事も迷いなくアンコウ鍋(どの店でもトップクラスに高いメニューだ)を頼む。お土産もたくさん買う。はっきり言って、駆け抜けてくばかりのライダーや、カップルのドライブ客よりよほど地元を潤すのではないか。

昔はオタクの奇異な行動として半分はネタみたいに一般メディアに紹介されていた「聖地巡礼」だが、本当にこれはもう、ただの一部のマニアの趣味ではないのだなと。それで経済が、つまり現実が動いているのだ。細かい分析はいまさらしないが、その経済効果というものを目の当たりにした気がして興味深かった。

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