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【番外編】世界遺産「平泉」の冬景色

今回はバイクじゃなく電車での旅行なのですが、他に書く場所もないのでこのブログに旅の記録をば。

中尊寺 弁慶堂




と、いきなりちょっと嘘ついてるというか、実は正しくは盛岡に出張しただけです。ただ、真っ直ぐ帰るのも癪だしということで、帰りに平泉に寄ってみることにしました。

平泉が世界遺産に登録されたのは5年ほど前。私はもともと歴史に興味がなかったので、「なんでそんなマイナーなところが?」くらいにしか思ってませんでした。しかし最近、娘が「まんが日本の歴史」みたいなものをよく読んでいるせいで、奥州藤原氏と源義経の話を知っていたので、ちょっと楽しめるかなと。

盛岡から東北本線で1時間強、料金1490円で平泉へ行けました。前日に新幹線でこのあたりを通った時には雪などほとんどなくて、「東北の冬と言ってもただの枯れた景色だな」と思っていたのですが、一晩にして一面の雪。北東北の底力?を見せつけられた思いです。

冬の平日で悪天候、しかも東京から来るにはまだ早い時間ということもあって、平泉の駅は閑散としていました。地元の人間らしきもの数名以外は、一人あるいは二人連れの女子旅が2、3組くらい。おっさん一人旅、しかもスーツの異色ぶりが際立ちます。

結構、雪が降っていたので、あまりウロウロせずに目玉スポットだけ見るか・・・ということで、循環バス「るんるん」に乗って10分くらいで中尊寺へ。

1回150円ながら、400円で1日乗り放題券が買えます。が、帰りに乗っても300円でしかないので、普通に150円払って下車。


平泉 中尊寺バス停
バス停は中尊寺の参道である「月見坂」の入り口で、寺の目の前ではありません。関東であれば大騒ぎになるレベルの雪が一面に積もっていて、無駄にテンションが上がります。


武蔵坊弁慶之墓
中尊寺バス停のすぐ近くに石碑があるので何だろうと見てみると、「武蔵坊弁慶之墓」。いやに綺麗というか新しそうなのが引っかかりましたが、ともかくここにかの有名な豪傑が眠っているようです。つまり「立往生」もこのあたりということですね。まあそうか、義経が平泉で最期を遂げたのだから。



月見坂

バス停および弁慶の墓のすぐ近くから、鳥居をくぐって月見坂。なかなかの急坂ですが、大きな杉の並木にしんしんと雪が降り積もり、時折、枝に積もった雪がさーーーー・・・っと滝のように流れ落ちてくる様はなんとも言えない風情があります。

簡易かんじき
月見坂の入り口にはプラBOXがあり、その中に自由に使える簡易かんじきのようなものが用意されています。転びたくないし効果のほどを試したいので装着してみました。効果はたぶんありました。

見晴らし

月見坂の途中、展望スペースのようなところがあり、平泉の平野部を見渡せます。この日は真っ白でしたが。正しくは「樹氷」ではないのでしょうが、そういう雰囲気の木々。とは言えある意味、スキー場でよく見る眺めでもありますが、それをスーツでパソコン抱えて眺めているという事実に、不思議なシュール感が湧いてきます。

茶屋。芭蕉フィーチャー。

「奥の細道展」開催中の茶屋。奥の細道展、100円払って見てしまいました。・・・・なんというか・・・おじいちゃんが趣味で集めた俳句の原本を家に飾ってる、そういう印象です。まともな博物館や美術館ではなくて、田舎にたまにある「俺のコレクションみてくれ系珍品館」のノリですので、突然に特に説明もなく石器(鏃)が展示されていたりもします。とは言え、100円ですし、数点は松尾芭蕉の直筆という句もあります(例の縦長の紙で)ので、見て損した!という気にはなりません。ふーん・・・という感じ。


中尊寺

中尊寺です。・・・確か金色だった気がするけど、実際はたいして光ってないな。なんて思って写真撮って帰ろうとしてしまいました。あぶない。ここは「中尊寺」ですが、有名な「中尊寺の金色堂」ではありません。

もう少し上ると博物館というか、仏像(かなり立派な)数点と金色堂からの見つかった学術資料の展示館である「讃衡蔵」があります。ここの入場料と金色堂の拝観料がセットになっていて800円でした。

で、残念ながらこれらは撮影禁止だったので写真はないです。ただ、金色堂は、まさか堂・イン・ザ・堂になっているとは知らずに一度通り過ぎてしまったのですが、凄いです。要は、本当に金ピカなんですが、保護のために金色堂の外側からすっぽり覆うように建物が後から建てられているのです。なので、外から見ると地味な堂なのですが、中に入ると本来の金色堂が、復元の成果もあって見事に金色です。

暗い照明なのと、漆塗り+金箔という手法のせいか、あるいは柱などには螺鈿の飾りなど、全体に光っているしほとんどが金でありつつ、金一色ではないからか、豪華絢爛でありながらちょっと落ち着いた感じというか、・・・工芸品のような美しさだと思いました。
阿弥如来を中央に6体の地蔵、増長天と持国天だったかな?の仏像もかっこよく配置されており、今度行くことがあれば双眼鏡を持っていて細部を観察してみたいなと思います。

資料館の方はさして期待せずに入ったのですが、これがまたなかなか面白かったです。最初にある仏像も座高で3mくらいある立派なものが3体と大迫力なのですが、個人的には近年の学術調査で金色堂内の奥州藤原氏4代の棺を調査した際の副葬品というのが興味深かったです。錆びた刀とか。首桶とか。とくに、頭の形で凹んだ枕が・・・生々しいというか、ああ、本当にずっとここに遺体があったのか、という実感のようなものがですね。

奥州藤原氏と縁の深い源義経は英雄的な性質もあってもはや伝説上の人物といった感じですが、彼が頼った奥州藤原氏の実在を感じられることで、義経や、さらには戦国時代というものが確かに現実の出来事だったのだというような感慨が得られました。歴史資料館のようなものはわりとちょいちょい見てますが、この枕にはとりわけそういう生生しさがあります。自分は、凹みの上に載っていたであろう朽ち果てた頭を思い切り想像してしまいました。でも、それによって時間を巻き戻すように、それが朽ちる前へと連続する歴史というものを想像できた気がします。




金色堂の近く。

中尊寺には、月夜坂の両脇にちょいちょいとお堂があるのですが、雪の中ではどれもこれも「まんが日本むかし話」にでも出てきそうな雰囲気で、ちょっと愉快な気持ちになりました。

実は池があるのですが凍ってます

ただ、雪のせいで池も白く凍っており、これは緑の多い時期にはきっとまた違う良さがあるのだろうなと。もう一度、暖かい時期に出張があればなと思ったり。


弁慶堂

弁慶人気です。何か意味のある旗なのでしょうが、意味はわかりません。ただ、色の抜けた堂と雪ですべてモノトーンのような景色の中で、この鮮やかな幾何学模様はむしろ神秘的な雰囲気を醸していると思いました。良い意味での異物感と言いますかね。

あとは月見坂を下りて、観光土産屋っぽいところで蕎麦を食って、バスに乗って平泉に帰ろうかと。

バス停に行ってみましたが、10分くらいはバスが来ない様子でした。しかもバスに乗ってもたぶん10分くらいはかかる。あわせて20分。

思うにバスルートはくねくねしてたので、まっすぐに歩けばわりとすぐ着くだろうと・・・きょろきょろすると、車用の青い道路標識に「平泉駅1km」という文字が見えました。1kmってぜんぜん大した距離じゃないじゃんよ。

ということで、雪も止んだし、歩いて戻ることに。途中、義経最後の地に寄ろうとしてみて、やっぱやめたりとフラフラ歩きましたが、自分がちょうど平泉のバス停に着いた時にバスも到着して、さきほど中尊寺のバス停にいた女子旅の方々も降りてくるのが見えました。つうことはですね、中尊寺←→平泉駅の移動は、バス乗っても歩いても時間かわらないか、歩いた方が早いってことですよ。たいした距離でもなく、途中で平泉という場所の観光地としてではない景色もチラ見しつつ歩けるので、私は徒歩移動をお薦めします。とくに足が悪くない限りは。


歩いていたら途中で「無量光院跡」もありました


平泉の駅からの景色

盆地状なのでしょうか、わりと平坦なんですが四方の彼方に山が見える平泉の駅からの景色などは、大ざっぱに言えば1000年前とさして変わらないのでしょう。


東北本線
電車が二両編成であるというだけでちょっとドキドキしてしまう自分は、なかなかに都会人だと思います。

以上、たまには電車の旅もいいものでした。まあ、出張じゃなきゃもっといい・・・と言いつつ、出張でもなければバイクで行ってしまうのも事実。

あと電車の旅の良いところは駅弁が食えるところです。悪いところも駅弁が食えるところです。ついつい、飯の時間でもないのに食ってしまい食べ過ぎになります。

しかも駅弁て結構高いんだよ・・・。盛岡のスーパーで売っていたエゾバフンウニの粒ウニ瓶、2800円なので諦めたのですが、駅弁2つ買う金あったら買えますねだいたい。あれ凄い美味いんですよ。買えばよかった・・・。

ま、旅行は後悔がちょっとあった方がいいものだということで。それでこそ、もう一度行きたくなりますからね。


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