蝉の渓谷 |
ツーリングに行ってきた。
家族旅行があったり梅雨だったりで丸1ヶ月ぶりとなるだけに、今回は半日ではなく丸一日使うつもりで出発。
ただし、妻子からのクエストを受注しており、1.埼玉県の博物館スタンプラリーをクリアしてニホンオオカミTシャツをゲットする、2.娘の夏休みのイベントである化石発掘の下見を兼ねる、という2つを達成しなければいけないという制約つきだ。
というわけで、今回も秩父に行くことになったのだが、いつもと違うのは秩父からそのまま群馬、さらには長野へと抜けるルートをとること。名前はよく聞いた気がするが通ったことのなかった十国峠や、佐久から下仁田に抜けるマイナーなルートの開拓など、走りの面でも充実したツーリングであった。
ちょうど都合が合ったので、また会社の同僚のP君と。スタンプラリーの都合上、朝の8時半に芦ヶ久保の道の駅で待ち合わせた。
ただ、何度来てもここはライダーが異様に多い。同好の士と言えばそうなのだが、根が集団を拒否する性質なので、別に話したりはしないとは言えどこう多いとちょっと気持ち悪いというか・・・朝は弁当も売ってないし、今度から別のところで待ち合わせしようかなとちょっと思った。なぜか堂々と歩道に乗り入れてタバコふかしてる連中と同じに見られるのも嫌だし。
ともあれ、9時の開館から横瀬町歴史民俗資料館、武甲山資料館、秩父錦「酒造りの森」酒蔵資料館、荒川歴史民俗資料館、と立て続けに回った。目的はスタンプ集めだが、200円くらいでもせっかく払って入館するのだからと展示を見ていたら、結局終わったのは12時も近い頃だった。
横瀬の資料館は棚田の風景の展示があって、今度行ってみようと思ったり、荒川の資料館も意外に見応えがあった(あくまでも「意外に」)。いちばん良かったのはやはり武甲資料館で、武甲山がなぜあのような形になっているのかの謎が解けて良かった。あと、たまたま飾ってあった地元小・中学生の武甲山絵画コンクール?入賞作品がわりと良かった。
大人顔負けのデッサン力と仕上げを誇る中学生の作品、子供らしい技巧による小学生の作品など、10枚ほどすべてが武甲山の絵なのだがそれぞれ味があって面白かった。
武甲山はあの辺りでもっとも高く立派な山であり、霊場でもあるのに、山の形が変わるほど、まさに痛々しいほどに削り取られているという興味深い山だ。これを簡単に「自然破壊」と言ってしまうのはお粗末で、確かにいろいろ壊したが、壊す理由もあったし、それで創ってきたものもあるのだ。だから壊しても良いというわけではないが、そもそも、良い・悪いという 簡単な話ではないのだ。そういった簡単には語れないテーマをあれほど雄弁に語っている山もなかなかないだろうと思う。
まあ、ともかくスタンプは4つあつまったので、無事にニホンオオカミTシャツはゲットしたのだが、大人気らしくすでに残りがわずかで、サイズがなかったので150サイズを貰って娘用にした。
芦ヶ久保では9時前では弁当が買えず、味噌まんじゅう一つを食ったのみだったので、さすがに腹も減っており、俺としては近くに見かけた蕎麦屋あたりでいいだろうと思ったのだが、P君が小鹿野のわらじカツ丼に挑戦すべきだというのでそうすることに。
以前にP君は小鹿野の東大門でわらじカツ丼を食っており、その後に俺と一緒に三峰神社の大島屋で食っている。今回はもちろん、元祖を名乗る「安田屋」だ。概ね国道299号沿いだが、通りに面してはいないので少し迷った。迷っていて、町営駐輪場を見つけたのでそこに止めて店に向かったが、数名が並んでいる状態だった。
安田屋は裏路地。 |
町営駐車場のあたりから撮影しているのだが、写真の奥にひとのたむろっているところが店。左手の黄色い看板は簡素な和菓子屋で、手作りと書いてあるがどんなものがあるのかと気になったが、胃袋の容量的にはこの日はチャレンジしなかった。
しばらく待って店内に通され、わらじカツ丼(2枚乗せ)を食う。というか、そもそもこの店はわらじカツ丼しかメニューがないのだから、選択の余地などない。
安田屋のわらじカツ丼。850円。 |
薄めのトンカツに甘いタレのみの丼、ということでだいたいは同じ味なのだが、こちらの方が肉が少しだけ厚く、トンカツらしい味わい。P君はタレが良いと言っていた。俺はタレの差はちょっと思い出せなかったが、美味かったのは確かだ。
というか、近くのテーブルで食っていた玄人っぽいライダーが、しきりに「いろいろ食ってみたがここのが一番美味い」と絶賛しているのが聞こえていた。おそらくそうなのだろう。けど、次に食うなら他所のも食ってみたいけど。
自分はわりとさらっと食えてしまい、食いながら「3枚にしておけばよかったか」と考えていたが、隣の席のドライブ旅行の婆様たちを見ると「果たして食えるのだろうか」と心配になるくらいのボリュームではあった。
その後、コーラを飲み干して小鹿野を発ち、「さざなみ岩」の恐竜の足跡へ。
瀬林の漣岩と恐竜の足跡 |
ただ、ここはいつも閑散としていたはずなのに、いくら夏休みだからと言って駐車場が満車状態とかどういうわけだ?と思ったら、恐竜センターの「化石発掘体験」の体験スポットがこの真向かいに出来ていた。
渓谷に降りられる歩道を作り、川に入って露頭を探さずとも安全に掘れるように露頭を崩したらしい砂利場を作ってあるようで、公園のような一角で親子が地面をハンマーで叩いていた。・・・ナショナルジオグラフィックの番組に出てくるような発掘は米国のような大陸なので地面を掘るが、日本では通常、地面は土壌や転石になるので崖を掘るものだ。その埋まり方、出現の仕方も含めて学んでこその発掘体験だろうにと思うのだが・・・お手軽に成果を出させて人を集めようとするとこうなるのかなと思うと何だかなあ・・・という気分だった。俺の娘にはこんな半端なことはさせなくていいや、と思って立ち去ることにした。
あとはひたすら走ればいいかということで、十石峠へ。
純粋に初めて通る道で、想像していたよりもだいぶ細く険しい。だが、細く険しい林道じみた峠はまさにNinja250SLの大好物なので、ノリノリで走る。対向車もあるし路面も荒れていたりするので、十分な安全マージンを確保して走ることにはなるが、それでもやはりヒラヒラとバイクを倒していく感覚を存分に味わえて面白い。
十石峠の展望台より |
峠を越えてしばらく行ってからは、平坦な山間集落の中に直線的な道が続く景色に変わる。それまでの山深さとは異なる景色で、「うわあ、長野にまで来ちゃったよ」と実感できる。
国道141号にぶつかったところで、南に降って中央道を目指すP君と別れることに。俺は1本来たの県道93号で東へ戻り下仁田を目指すことにした。
この道が、最初こそマイルドなものの、田口峠に迫るあたりからは、またなかなかタイトなワインディング。十石峠でお腹いっぱいだと思っていたのに、強制デザートであっぷあっぷだ。
とはいえ、限界感が半端なく人影もない山間の集落の破れた屋根の廃屋などを横目に、日の傾いた中、すれ違う車もいないままで疾走するというのも、また妙なノスタルジー?というか、ロマンというかを感じてしまう。
こういう石垣があちこちにある。古いのだろうか? |
スケール感がないけど巨岩。高さ数10mくらいか? |
地元の方には失礼だろうが、なんだかんだ都会育ちの自分には、こういった静かさはある意味で怖い雰囲気がある。
古い人家はあるが人は見あたらない、真新しい観光用駐車場はあるが車はいない、渓谷に釣り人もいない、目の前には巨岩とその足元を抉る渓と、水音と、うるさいほどのひぐらしと。・・・まあ、ぶっちゃけ怪奇ミステリーの舞台のような雰囲気だ。
しばらく岩を眺めつつ一服し、下仁田を目指す。
そこから、高速の入り口を見つけ損ねて藤岡まで下道で行ってしまうというハプニングはあったものの、関越〜圏央道〜東北道とつないで一気に自宅近辺まで帰ったので、意外と疲れ果てることなくツーリングを終えることが出来た。
やはり帰り道は、多少もったいないルートだと思っても自宅直近まで高速に乗ってしまうのはいいなあ。
行きは下道で秩父を抜けて、群馬、長野方面まで走ってしまい、帰りは高速というパターンは、さいたま市民的には結構良いかもしれないと思った。
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